補足的に、王家の諸々についてを載せておきます。
読まなくても本編は楽しめます。


◇ ふたりの英雄

  過去、魔族と人間の間で幾度も衝突が起きてきたが、その中でも、記録に残る中では古い時代の大戦で、人間勢力で目覚しい活躍を見せた若者達がいた。エスト大陸にまで魔族の侵攻が進み、これを打ち払った後に、堅い絆で結ばれた二人の青年は、民に乞われて国を建国し、初代国王となった。これが、スロウディアとセーミズの起である。大戦で彼らと共に戦った、強力な魔法の使い手であった賢者と魔女は、後に結ばれ、国王となった二人を祝福しつつ、どこぞへ引退していったという。彼らはいずれも勇敢で志高い若者達であり、仲間の一人である魔女も、美しく心優しい娘であったと伝えられる。なお、賢者クルスには、二つの護属性を持ち、氷と雷を同時に操ったという伝説がある。


◇ 英雄の庇護

  スロウディアとセーミズの王族には、代々、初代国王の英霊が憑き、その恩恵を受けているという。国としては中規模の二国が、共に長い間、亡国の危機にさらされずに続いているのは、そのためだとも囁かれるが、真偽は謎である。
  英霊に護られるのは、一度王座に就いた者と、その実子に限られる。スロウディアを例にとってみると、先代の娘である現女王とその妹、そして現女王の息子であるライアが該当する。女王の夫や、王位継承第三位の座にいるライアの従姉妹などは、親が王ではないため、その範囲から外れる。一度加護を受けた者は、死ぬまで護られるが、庇護の力は等しく注ぐものであり、該当する人間が多いほど、その力は弱まってしまう。また、あくまで本当の危機が少しばかりましな方向に動くかもしれない、という程度のものなので、庇護を受ける者が暗殺でや病気で死なないという事はない。


◇ 魔法の伝承

  スロウディアでは、王位継承第一位の座にいる者が15になると、ある魔法を授かる。一つは、強力な炎を呼び覚ますもの。そしてもう一つは、周りにいる複数の人間の能力を、一時的に潜在的なレベルにまで引き上げるものである。どちらも正確な詠唱を必要とするが、その威力は普通の魔法とは比べ物にならない。その分術者の消耗も激しく、体力が低下していたり、高齢であったりすると、命を落とす危険すら付き纏う。15という年齢は、それ故に定められたものである。王として継承は絶対条件ではなく、継承の儀自体はお抱えの専門家達が執り行うため、継承者が極端な虚弱体質である場合、伝承は先延ばしにされたり、見送られることがある。   これはスロウディアでの話だが、どこの王室でも似たような王家に伝わる魔法というものは、大抵存在する。


◇ 後継者の選定基準

  スロウディアでは王の第一子が男女の別に関らず王座を継ぐが、他の国でも同じとは限らない。隣国のセーミズなどは王位継承は男子に限り、国によっては、子の中で最も強き者に王位を継がせるという王家も存在する。また、水の護属性を持つ巫女を中心に据えるエスト大陸南方アリヤのように、特殊な慣習を持った国も存在する。



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